『雇用が増えた』と『就職が難しい』は同時に成立する

2026年1~3月期、韓国の賃金雇用の仕事は2,082.8万件で、前年同期より29.2万件増えました。この数字だけを見ると、雇用市場は改善しているように見えます。

しかし年齢別に見ると景色が変わります。同じ公式統計で、20代以下が占める賃金雇用の仕事は前年より7.6万件減りました。この年齢層の仕事は2022年10~12月期から14四半期連続で減少しています。

ここで注意が必要です。7.6万という数字は『就業者が7.6万人減った』という意味ではありません。賃金雇用の仕事統計は、ある時点で企業と労働者の関係として存在する仕事の単位を数えるものです。人の数と仕事の数は分けて読む必要があります。それでも、全体の仕事が増える一方で若い年齢層の仕事が減ったという分岐は明確です。

増えた29.2万件は、すべての世代に同じように開かれたわけではない

年齢別の差は大きく、60代以上が占める仕事は23.3万件増え、30代は11.5万件、50代は4万件増えました。一方で20代以下と40代は減少しました。

産業別にも動きは異なります。保健・社会福祉、宿泊・飲食などでは増えた一方、製造業や建設業では減少しました。

だから国全体の雇用がプラスでも、就職活動をしている個人の体感が同じになるとは限りません。重要なのは『仕事が何件増えたか』だけではなく、『どの産業で、どの年齢とキャリア段階に入口が増えたか』です。

より直接的なシグナルは『新規採用の仕事』に表れている

8月30日に報じられたKOSISベースの集計では、2026年1~3月期に20代・30代が新たに就いた賃金雇用の仕事は236.3万件でした。前年より2.3万件少なく、2018年の統計開始以降、1~3月期として最低でした。

20代以下の新規採用の仕事は134.3万件で2.6万件減少しました。30代は102万件で3千件増にとどまりました。製造業の新規採用の仕事は2.4万件減り、全体減少の大部分を占めました。

ここでいう新規採用の仕事は、企業の新設や事業拡大で完全に新しく生まれた仕事だけではありません。退職・転職によって人が入れ替わった仕事も含まれます。若い人が実際に新しく入った採用の入口の大きさを見る指標に近いと言えます。

20代の問題と30代の問題も同じではない

賃金雇用の仕事全体では、30代が占める仕事は前年より11.5万件増え、過去最大の増加幅でした。しかし30代の新規採用の仕事は3千件増にとどまりました。同じ30代でも、現在保有している仕事と新しく入る仕事では違う動きが見えます。

20代以下では両方のシグナルが弱く、賃金雇用の仕事全体も、新規採用の仕事も減少しました。別の7月雇用統計でも、15~29歳の雇用率は44.2%で前年より1.6ポイント低下しました。

そのため『若年雇用』という一つの言葉だけで20代と30代をまとめると重要な差を見落とします。初めての就職に近い人と、数年の職歴を持つ人では、企業が確認できるEvidenceも採用経路も異なります。

企業の経験者志向は、なぜ最初のキャリアの入口をさらに狭くするのか

公式統計だけで企業の採用判断のすべての原因を証明できるわけではありません。ただし関連報道では、若年層の仕事減少の背景として労働市場への参入時期の遅れや、企業の経験者採用志向が挙げられています。

企業から見ると、経験者には確認できるEvidenceがあります。担当したプロジェクト、顧客対応、使ったツール、業務責任、組織での経験などです。一方、初めて仕事に就く人は、そのEvidenceを作る機会自体がまだ少ないのが当然です。

ここに循環が生まれます。企業はすぐに働ける経験を求め、求職者はその経験を作る最初の仕事を必要とします。入口が減るほど、次の採用で要求される経験のEvidenceを作る機会も減ります。

求職者に『資格をもっと取ればいい』と言うだけでは足りない

市場が経験や実務Evidenceをより重視するなら、資格の数を増やすことだけが最善とは限りません。目標職種の求人で繰り返し要求される仕事を確認し、その仕事を実際に行った根拠を作る方が直接的な場合があります。

データ職なら、どのデータをどんな仮説で分析し、何を変えたのかを説明できるプロジェクトがEvidenceになります。製造・自動化なら、設備、制御、品質、工程の問題をどう扱ったかが次のキャリアの言語になります。

もちろん個人の努力だけでマクロな採用縮小を解決できるという意味ではありません。市場の構造問題と個人がコントロールできる準備は分けて考える必要があります。ただ入口が狭いほど、入口で見せるEvidenceの質は重要になります。

企業側も『若手を採れない』と『若手が準備不足』を分ける必要がある

企業側にも同じ問題があります。新卒・若手に経験者と同水準の即戦力Evidenceを求めながら『適切な応募者がいない』と結論づければ、将来の経験者を生む入口そのものが縮小します。

すべての仕事を未経験者に開くべきだという話ではありません。安全、顧客、品質、失敗コストが大きい仕事では検証済みの経験が必要です。ただし入社前に必須のEvidenceと、入社後に学習できる能力は区別できます。

若年雇用は求職者だけの問題ではありません。企業がどの仕事をentry-levelとして設計し、何を社内で育て、何を本当に採用前の条件にするのかという問題でもあります。

仕事の総量より『最初のキャリアの入口』を見る

今回の統計で重要なのは、韓国から仕事が消えたという話ではありません。賃金雇用の仕事全体は29.2万件増えました。問題は、その増加が世代と産業に均等に広がっていないことです。

20代以下が占める仕事は14四半期連続で減り、20代・30代の新規採用の仕事も統計開始以降の1~3月期で最低でした。初めて仕事を探す人が感じる市場は、雇用総数だけでは説明できません。

これから重要になる問いは『仕事が増えたか』より『誰が新しくその仕事に入れるのか』かもしれません。最初のキャリアの入口が狭まり続ければ、数年後に企業が奪い合う経験者人材の供給も狭くなります。

採用市場は時間でつながっています。今日の若手採用が明日の経験者人材です。最初の扉を狭め続けながら、後になって経験者が足りないと言う市場は長くは続きません。

参照した主な資料

『賃金雇用の仕事』は仕事のポジション数を示す統計で、就業者数と同じ概念ではありません。本文では仕事単位の統計と、雇用率など人単位の統計を分けて使用しています。企業の経験者志向など原因に関する説明は、公式統計が因果を直接証明したものではなく、公開報道と採用市場の観察を踏まえた解釈です。